腎臓内科 ※木曜日
※対象年齢:高校生以上
腎臓内科疾患とは
腎臓とは、腰の左右1つずつある臓器です。老廃物を排泄する機能の他、体内の水分や血圧を調整する機能などを担っています。腎臓は自覚症状の出にくい臓器のため、病気の早期発見・治療と共に、いかに進行を遅らせ、じっくり治療を行っていくかが重要となります。
また、心臓病は糖尿病や高血圧が原因となることも多く、生活習慣病の管理がとても大切になります。普段の食事や生活習慣の改善がとても大切となりますので、患者様の状態にあった検査、治療、生活指導を行わせて頂きます(栄養士による栄養指導も行います)。
主な疾患と症状
腎血管性高血圧症
腎臓に血液を運ぶ血管である腎動脈の片側または両側が狭くなるために、腎臓への血流量が低下して起こる高血圧です。
原因
腎血管性高血圧症では、腎動脈が狭くなることで腎臓からレニンという血圧を上げるホルモンが多く作られます。その後、末梢血管収縮などの作用があるアンジオテンシンIIが産生される結果、高血圧が引き起こされます。
症状
腎血管性高血圧症では高血圧(診察室での最高血圧140mmHg以上または最低血圧90mmHg以上)がみられますが、通常は自覚症状がありません。高度の低カリウム血症が生じている場合には、手足の脱力、筋肉痛、不整脈などの症状が現れることがあります。
自覚症状がないことが多いため、進行して高血圧脳症や心不全などの重篤な合併症が起こってから発見されるケースもあります。
慢性腎臓病
慢性腎臓病(CKD)は、何らかの原因によって腎臓の機能が低下する病気です。
病気の重症度によって症状は異なりますが、腎臓の機能が低下するほど、体に水や老廃物がたまることによる体の不調が起き、ミネラルバランスが保てなくなり、貧血になりやすくなります。腎臓の機能がほとんどなくなると、自分自身の力で尿を作ること、ミネラルなどのバランスをとることができなくなるので、血液透析や腹膜透析、腎移植などの腎代替療法が必要になります。
原因
慢性腎臓病の原因は、多岐にわたります。慢性腎臓病は、加齢や生活習慣と深く関わっており、1つの原因だけでなく複数の原因によって腎機能が低下している場合もあります。慢性腎臓病の原因としては、以下のようなものが考えられます。
- 糖尿病
- 高血圧
- 肥満
- メタボリックシンドローム
- 慢性腎炎症候群・ネフローゼ症候群などの腎臓自体の病気
- 膠原病
- 感染症
- 遺伝性の異常
- 腎臓に悪影響を及ぼす可能性のある薬の服用(解熱鎮痛薬、漢方、抗がん剤など)
- 加齢
症状
慢性腎臓病は、重症度によって症状の出かたが異なります。軽症の場合には、無症状のことがほとんどです。しかし、腎機能の低下が進むと、むくみ、夜間尿(夜間に何度もトイレに行きたくなる症状)、倦怠感、食欲の低下、吐き気、手足のしびれなどの症状が出ます。さらに進むと、肺に水が溜まり、息苦しさが出てきます。
腎炎
何らかの原因によって腎臓に炎症が起こることを腎炎といいます。炎症が起こっている場所によって腎盂腎炎、糸球体腎炎、間質性腎炎と呼びます。
腎盂は、腎臓と尿管をつなぐ部分を指します。糸球体は、1つの腎臓に約100万個存在し、腎臓に流れ込んだ血液を濾過して体に不要な老廃物を排出しています。糸球体や尿細管を除いた腎組織のことを間質とよびます。
腎盂腎炎、糸球体腎炎、間質性腎炎は、それぞれ発症の仕方や炎症が続く期間によって急性か慢性かに分けられます。一般的に、短い期間で発症するものを急性、長い期間症状が続くものを慢性と考えます。
原因
腎盂腎炎
原因として、基礎疾患や尿路の異常などが挙げられます。基礎疾患には、神経因性膀胱、糖尿病などが含まれます。尿路の異常には、前立腺肥大症や尿路結石、尿路悪性腫瘍(膀胱がんや尿管がんなど)、尿道カテーテル留置、また膀胱尿管逆流のような膀胱にたまった尿が尿管や腎臓に戻りやすい生まれつきの病気が含まれます。
さらにステロイドなどの免疫抑制作用をもつ薬を服用している場合も感染しやすくなります。基礎疾患や尿路の異常がなくても尿道から細菌が侵入して腎盂腎炎を引き起こすことも多く、女性のほうが発症しやすいといわれています。
糸球体腎炎
原因は、感染症や膠原病、血管炎、悪性腫瘍などのさまざまなものが考えられます。原因が特定できないことも多い原発性糸球体腎炎の場合では、何らかの免疫異常が関わり、糸球体に炎症が起きるのではないかといわれています。
間質性腎炎
急性間質性腎炎:原因のほとんどは、薬の副作用やアレルギー反応、感染症と考えられています。膠原病の合併症として、急性間質性腎炎が起こることもあります。
慢性間質性腎炎:薬剤や膠原病が原因となることが多いです。そのほかの原因としては、環境有害物質などが挙げられます。
症状
腎盂腎炎
急性腎盂腎炎:発熱、全身倦怠感、腰や背中の痛み、悪心、嘔吐、頻尿、排尿時痛、残尿感などの症状がみられます。細菌が全身に広がる敗血症になると、意識障害や血圧低下によるふらつきなどの症状が出ることがあります。
慢性腎盂腎炎:自覚症状がないことも多いといわれています。症状が出る場合には、微熱や軽い腰痛、食欲低下などです。
糸球体腎炎
原因となる病気によって症状が異なります。
急性糸球体腎炎:溶連菌感染後急性糸球体腎炎では、扁桃炎などが治ってから10日前後経過すると、むくみやだるさ、息苦しい、血尿などの症状が出ます。
慢性糸球体腎炎:IgA腎症の場合には、自覚症状がないものの健診などでタンパク尿や血尿などを指摘されて気付くことが多いです。一方で、膜性腎症や巣状糸球体硬化症の場合には、手足のむくみやだるさ、体重の増加などの症状が起きることがあります。
間質性腎炎
急性間質性腎炎:症状は、発熱、皮疹、関節の痛みなどですが、全て現れることは比較的まれです。
慢性間質性腎炎:自覚症状がないことが多いといわれています。
糖尿病性腎症
は糖尿病の合併症の1つであり、高血糖状態が長く続くことによって腎機能が低下した状態のことです。糖尿病になってから約10〜15年以上たってから発症することが多いといわれています。
初期はほとんど自覚症状がありませんが、進行するとむくみや高血圧などがみられるようになります。さらに進行すると末期腎不全になり、腎機能の代わりをする“人工透析”が必要になります。
原因
糖尿病による高血糖状態が続き、腎臓の血管が損傷することが原因で発症します。
腎臓には、血液から老廃物を取り除いて尿として排泄し、体内の水分量や血圧などを調節するはたらきがあり、これは腎臓の微細な血管が張り巡らされている糸球体と呼ばれる場所で行われています。
糖尿病で高血糖状態が続くと、血液中のブドウ糖が組織のタンパク質に結合した物質が増え、全身の小さな血管を傷つけて血管を詰まらせたり破いたりします。糸球体には細い血管が多いので損傷が起こりやすく、その結果として腎臓の機能が低下すると考えられています。
症状
糖尿病腎症の初期は無症状であることがほとんどですが、進行すると以下のような症状が出る場合があります。
- タンパク尿
- 高血圧
- むくみ
- 食欲不振
- 息切れ
- 疲れやすい
- 吐き気 など
腎臓結石
尿は、腎臓で作られてから尿管を通り、膀胱に流れ込み、尿道を通って体の外へ排出されます。このような尿の通り道を医学的に尿路と呼びます。尿路になんらかの原因で生じたミネラルや有機物を含む結晶からなる結石を尿路結石といいます。
尿路結石は、結石ができている場所によって名称が変わります。腎臓にある結石は、腎臓結石と呼ばれます。
原因
腎臓結石は、尿の中に含まれるカルシウムやマグネシウム、尿酸などの成分が過剰な状態になり、結晶化することによって発生すると考えられています。
具体的な原因として挙げられることが多いものを以下が考えられます。
- 水分摂取量が少ない
- 肉類をよく食べる
- 糖分や塩分の摂取量が多い
- 運動不足
- ストレス
- 寝たきりなどで尿の流れが悪い状態である
- 薬の副作用(ステロイド、ビタミンD製剤、利尿剤)
- 尿管狭窄や前立腺肥大など尿の通りが悪くなる要因がある
- 結石を起こしやすい病気がある(骨粗しょう症、脂質異常症、クッシング症候群、原発性副甲状腺機能亢進症、高カルシウム血症、シスチン代謝異常など)
症状
健診で偶然見つかるような腎臓結石の場合には、症状がないこともあります。腎臓結石が移動したり、尿の通り道を塞いだりすると背中やわき腹、下腹部の激痛を起こすことがあります。痛みと共に、吐き気や嘔吐、冷や汗、血尿なども自覚する場合があります。また、結石が尿の通りを悪くすると感染が起きる場合があり、発熱や悪寒などを伴うこともあります。
<こんな異常を指摘されたら腎臓内科を受診しましょう>
・尿蛋白が陽性
・尿潜血が陽性
・腎機能が悪い(クレアチニンが高い/eGFRが低い)
・血圧が高い
・血糖値が高い
・多発腎嚢胞を指摘された
<こんな症状が出たら腎臓内科を受診しましょう>
・尿が泡立つ
・尿が赤い
・尿が少ない、足がむくむ
・夜間頻尿
・血圧が高くなってきた
・歩くと息が切れる
・体がだるい